2045年から2047年までの3年間を描く、AIが神になった世界の物語。小説内で3カ所出てくるQRコードを読み込むと、それまでに描かれている物語が実際に具現化された際の映像が出てきます。
-1部 あらすじ-
10人の男女それぞれの視点で自己、神、AI、未来の人類の環境を問う著者の処女作SF。歯止めの効かない温暖化、疫病の蔓延により人類は世界の最高判断権限をAIに譲渡し、その役割をKaMiと呼んだ。KaMiは人類の持続可能性を司り、様々なアバターに分散して人間社会に溶け込んでいる。
2045年、新山託也は職業案内所で仕事を探していた。この時代もはや不要となった仕事という営みは、AIにより知りすぎてしまった自己のアイデンティティロスの処方箋として使われていた。クラブでDJをする女性、令はAIの弟をもち人間らしさを音楽の中に求めていた。ドリームハック社で働く女性、美作照はAIにより管理された最適な生活の中で、KaMiに導かれた最適なパートナーを探している。大衆の願いを聞き入れる新たな政治機構となったサイバー神社の神主、相馬は人々の願いが悪い方向に溜まっていることを危惧し、世の改善のため一人奔走している。
AIは究極の民主主義のため、日本各所の神社をサイバー神社に改修した。サイバー神社に願いを入力すると、一定の民意を超えた願いはAIにより社会実装されていく。ある日出版社で働く男性、染谷は各地に新聞配達をしながらサイバー神社にある願いを祈り、世界が一変する。